生産性向上に貢献することでDX推進を強力に下支え
大手ゼネコンとして建設業界をリードする大成建設株式会社では、中長期的に目指す姿として「TAISEI VISION 2030」を策定し、先進的な企業グループ構築に向けたさまざまな施策を推進しています。「DXが競争力を左右する時代へ」の認識のもと、DXを下支えする施策の一つとして「コミュニケーション活性化に向けたグループ全体のポータル基盤の刷新」を掲げ、この実現に向けてユニリタが提供するクラウドサービス「Digital Workforce」が採用されました。
1873年に大倉組商会として創業、日本屈指の建設会社として建築や土木など数多くのプロジェクトをグローバルに手掛けている大成建設株式会社。「人がいきいきとする環境を創造する」というグループ理念のもと、「自由闊達」「価値創造」「伝統進化」という大成スピリットを大切にしながら、安全・安心で快適な生活環境の整備を通じて、レジリエントな社会づくりに貢献することを推進しています。2021年5月に、10年後のありたい姿を示した「TAISEI VISION 2030」を策定し、そのビジョンを達成するための中期経営計画(2021-2023)に取り組んでおり、中核事業としての建設事業(土木・建築)に加え、開発事業、エンジニアリング事業を推進すると共に、エネルギー分野・環境分野における技術開発や体制整備を加速し「進化し続けるThe CDE³ カンパニー」を目指しています。
※CDE³は、Construction(建設)、Development(開発)、Engineering(エンジニアリング)、Energy(エネルギー)、Environment(環境)の頭文字
同社では、グループで共同利用できる基盤づくりを目指しながら、クラウドファーストを前提にさまざまなインフラ環境の整備を進めています。また、2024年には建設業において時間外労働の上限規制が始まることもあり、デジタル技術を駆使したDXを推進することで、生産性をこれまで以上に高めていくための環境整備が求められています。
このような環境変化のなかで進められていたのが、グループで横断的に活用できるポータルサイトの刷新でした。「生産性向上に貢献できる働き方改革を従業員に意識づける目的もあり、従来オンプレミスで提供していた社内ポータルサイトを刷新し、新たにクラウド環境にてポータルを整備し、業務システムにアクセスしやすい環境づくりを検討したのです」と社長室 情報企画部 企画室長 野村 淳氏は当時を振り返ります。
ポータルに関しては、単に生産性向上に貢献するだけでなく、社外向けに発表している自社のリリース情報や自身が関わったプロジェクトの情報などをポータル上に通知することで、会社に対する従業員のエンゲージメント強化につながるような環境づくりも求められていました。
新たな基盤づくりでは、生産性を最大限に高めていけるポータルサイトを目指し、全社横断的なプロジェクトとして各部署の担当者と協議しながら検討を進めていきました。そこで求められたのが、各業務アプリケーションへのアクセスが複雑でなく簡略化できることでした。また、利便性を高めるために個人ごとにカスタマイズが可能であること、そして業務基盤として以前から活用してきたOffice 365(現在のMicrosoft 365)との連携が可能なことなどが具体的な要件となったのです。
当初はOffice 365のライセンスで利用できるSharePoint Onlineをベースに検討が進められました。「2016年にOffice 365を全社的に導入し、段階的に利用できるアプリケーションを増やしてきました。そこで、SharePoint Onlineで新たなポータルサイトが構築できないか検討したのです」と野村氏。しかし、部門単位でのホームページをSharePoint Onlineで構築しているケースはあるものの、業務システムの入り口として活用するには難しい側面も。「従来の仕組みでは、業務システムとして導入していたワークフローツールが持つDBと連携し、自身の申請状況や承認すべき案件数などをポータル上に表示できる環境でした。SharePoint Onlineは、外部システムとのDB連携などが仕組み上難しく、ポータルとして利用するには機能不足な面もあったのです」と野村氏。当時はコネクターなども充実しておらず、生産性向上に資する環境づくりは難しいと判断したのです。
そこで注目したのが、以前からオンプレミスで整備していた、ポータル環境をクラウドサービスとして利用できる「Digital Workforce」でした。「長年ポータル環境をオンプレミスの『infoScoop(現在は「Digital Workforce」に統合)』にて運用しており、周辺システムと連携するためのコネクター開発など柔軟に対応いただいたことで、機能的には不足がありませんでした。そんな『Digital Workforce』をクラウド環境で利用することが、我々にとって最良だと考えたのです」と野村氏。
第三者機関の評価をもとにオープンソースを含めた複数のポータル製品についても併せて検討しましたが、文字中心のものが多く、直感的に分かりやすいUIが提供しづらいことが懸念されていました。「ポータルは、基盤としてどれだけ自由度があるかどうか、遊べるかというところが重要だと考えています。その点、『Digital Workforce』であれば自由度が高く、ユニリタという高い技術力を持った会社に支援いただくことで、従業員にとって使いやすい環境が整備できると判断しました」と野村氏は説明します。
結果として、グループ全体のDX推進を下支えする、生産性を向上させるための情報基盤として、ユニリタが提供するクラウドサービスの「Digital Workforce」が採用されることになるのです。
現在は、「Digital Workforce」で構築されたポータルを「TAISEI PowerSite」と呼び、主要7社を中心としたグループ全体の2万3000人ほどが利用する共通基盤として運用、海外にある現地法人からもアクセスできるなど、全社的なDX推進を下支えする環境として幅広く利用されています。また、クラウド認証基盤としてのAzure ADと連携することで、従業員の役割に応じてアクセス可能なメニューが制御されて表示されるようになっています。「シンプルなID・パスワードでのアクセスだけでなく、機微な情報を扱う場合はMicrosoft Intuneの電子証明書やスマートデバイスによるSMS認証といった多要素認証を採用しており、セキュリティを強化することで安全に利用できる環境を整備しています」と説明するのは、情報企画部在籍時にはポータル刷新プロジェクトを担当していた土木本部 土木企画部 企画室 課長代理 湯原 翔太氏です。
各部門が個別に運用しているホームページの最新トピックやOutlookにて作成された ToDoリスト、全社的なお知らせを掲載するバナーなど、ポータル画面に表示するガジェットは20ほど用意されています。基幹システムや建築および土木など現場業務に活用するスクラッチの仕組み、SaaSなどポータルと連携する各種業務システムのメニュー数は運用しているものだけで500を超え、災害対策や各種申請という機能軸だけでなく、経理や財務、営業、技術など部門ごとに必要な情報がカテゴリ分けされています。
「Digital Workforce」にてポータル環境を整備したことで、PCやモバイルデバイスからのアクセスは堅調に伸びており、特にAzure ADとの連携によって多要素認証までのプロセスがシンプルになったことで、ポータルにアクセスするまでの時間短縮を実現しています。また、「Digital Workforce」によって自社の情報を従業員に通知することで、当初掲げていた会社に対するエンゲージメント向上にも寄与していると湯原氏は評価します。
使い勝手の面では、情報企画部および各部門で作り込んで提供していた前回とは異なり、今回は個人ごとに使いやすいよう、カスタマイズしたものを多く取り込むなど現場からの評判も上々です。「ポータルは全社共通のエリアと部門ごとのエリア、そして個人が自由にガジェットを配置できる3つのエリアに分けています。部門内だけで周知徹底させたい情報を定位置に固定表示することも可能で、情報が伝わりやすくなっています」と湯原氏。PCの棚卸に関するお知らせを全社共通エリアのバナーにも掲載し通知したところ、短期間で棚卸が完了するなど具体的な効果も出ています。
常時1万人以上がアクセスしてくるポータルだけに、サイト表示を遅延させないよう細心の注意を払ったと語るのは、情報子会社としてポータルサイトの開発に関わってきた株式会社大成情報システム サービス推進部長 安部 龍二氏です。「経理をはじめ業務関連システムへの入り口となるため、ポータルサイトが利用できなくなる事態は避ける必要があります。クラウドだけにリソース自体は柔軟に変更できますが、ユニリタに協力いただきながら負荷試験も含めて入念に実施したことで、快適な環境が整備できました」。旧システムを含め開発から運用にまで関わってきたユニリタに対しては、その技術力を高く評価していると安部氏。
旧システムからの移行については、大きな改修を行うことなくクラウドサービスへの移行に成功しています。「Azure ADで認証することでシングルサインオンできる環境を整備していますが、旧システム時代に構築していた独自の認証環境をそのまま利用できたことで、大きなトラブルもなくスムーズに移行できました」と安部氏は評価します。
今後については、ポータル上に表示できるコンテンツをさらに充実させていきたいと湯原氏は語ります。「部門が持つホームページ内にも有益な情報は数多くあるはずです。それらをなるべくポータルに表示させていくことで、利用率をさらに向上させていきたい」。安部氏は「ポータル自体の統計情報などを改めて整理したうえで、利用状況に応じて足りないものを追加するなどガジェットの充実を図っていきたい」と力説します。
現状はスマートデバイス向けのコンテンツは提供しているものの、業務システムへのアクセスが可能な状況にはなっていません。業務システムのスマートデバイス対応を進めるなど利便性をさらに向上させていくことで、ポータルへのアクセスを増やしていきたいと野村氏は意欲的です。「コミュニケーションツールをフロントに置いたポータル、PCのデスクトップ自体をポータルにするなど利便性向上の余地はまだまだある。まずはWebブラウザを開くだけで多要素認証など特別な操作なくポータルへアクセスできる環境を作っていきたい。もちろん、クライアントアプリの強みも生かしていきながら、生産性向上に貢献できるポータルとして、さらに進化させていきたい」と野村氏に今後について語っていただきました。
創 業 | 1873年(明治6年)10月 |
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設立 | 1917年(大正6年) 12月28日 |
従業員 | 8,579名(2022年3月31日現在) |
資本金 | 122,742,158,842円 |
ホームページ | http://www.taisei.co.jp/ |
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